2019 教育学講義

2019年12月19日(木)第12講

論文:大澤亜里「サマーキャンプと青年コルチャック:子ども集団との初めての出会い」『教育福祉研究』17、2011年を読む。

* p4cスタイルで感想を述べ合う
* 「単純に楽しそう」「自由度が少なそう」「子ども裁判はどうなのか」「罰は厳しくないか」などなど
* 「田舎の子どもにはサマーキャンプをしないのか?」「田舎の子どもには、どのような活動が有効か?」をきっかけに意見交換
* 「貧困で病弱な、田舎と都会の子どもを対象にしていた」ことをさらに読み取る
* 自然が持つ神秘的な治癒力の話題から、大人にも通用するのでは?となり、命のおむすびの初女さんの森のイスキアの話題や、結核の療養所の話題、温泉治療「湯治(とうじ)」の話題へと広がる。
* 農耕や庭園を重視するオイコノミコスの議論との連動性も。
* インフラの整った現代の都市には不要との意見で終了。
* ポータルサイトでアナウンスしたように、冬休み期間に、『饗宴』を読み、ワークシートを仕上げておく。2020年1月5日(日)までにGoogleドライブの専用フォルダにアップしておくこと。
* 『饗宴』を読む前に、「教育」と「愛」とはどう関係するかを、各自考えておき、自分の事前の考えを明確化しておくこと。例えば、「教育愛」というけど、その愛は、「相手を教育しようとする情熱」のことかもしれない。「愛情を持って児童生徒に接する」という一般的な考え。この「愛情」は、子どもに対する「暖かい感情」とか「いたわりの気持ち」のようなものかもしれない。こうした「愛」と、プラトン の考える「エロス」とは、同じ?違う?

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2019年12月12日(木)第11講

クセノフォン (8)

* 近況報告p4c
* テキストをめぐる問いを立てる
* これまで以上にいい問いだ!!!
* 投票で「自分に利益をもたらすと思っているもの=愛?」「ここにおける利益って何なのか?」「愛するとは?」が1位に選ばれる。2位は「農業に関わりにくい現代で農業に代わる素晴らしい技術はあるのか?」、3位は「家政のリーダー論は学級のリーダーとしての教師に何を教えるのか?」。

* p4cスタイルで自由に討議
* 前後しながらどんどん話が進展する。集中した話し合い。内容も深まる。
* ソクラテスのいう「利益」とは何か?「有益」「有用」「使い方を知っている財産」「友」「金」などと関連。
* 利益がないと愛せないのか?/害があって身を滅ぼすことになる金や食を愛すると言えるかも。
* 不利益なものは、好きではなく、嫌いだよね。/でも大酒飲みは、自分の害になるものを好む。
* 無償の愛と信仰。Unconditional Love、隣人愛。
* そもそも愛と利益をつなげて考えられるのか?/そこがソクラテスの意外なところかも。
* 反抗期の例。親を好きなのがベースだが、反抗したくなることがある。
* 私はアイドルが好きだが、アイドルにお金を使ったりしてマイナス面もある。
* 愛するというと結婚だけど、イスコマコスは、結婚についてはあまり語ってなかったよね。・・・若い妻に家政を教えたこと、これが愛なのかも。そして自分を超えることを無常の喜びとしたこと、これも愛なのかも。
* 愛するレベルというのがあるのでは?愛すると好きとの違い
* ある物事は、利益になることもあれば、不利益となることもある。/完全に善だけの物事ってあるの?思いつかない。/一瞬の利益と結果としての利益、より長い目で見たときの利益
* イスコマコスの父は、農業の愛好家だったが、発展性のある土地、まだ耕されていない土地を好んで買った。愛することと、育てること、付加価値をつけること。
* 何かを愛することは、何かを配慮すること。
* 愛には、溺れる、虜にするタイプもある。/それは愛ではなく「依存」や「中毒」
* グラデーション、振れ幅があって、こっちに振れすぎても愛ではないし、あっちに振れすぎても愛ではなくなる/アリストテレスの言う「中庸」「中道」かも。
* などなど、充実したamazingでthoughtfulな対話ができた。古典テキストと具体例を行きつ戻りつしながら、高度な対話になった!!!
* リフレクションで書いて残す?疲れたので心に残す。・・・プラトン 『饗宴』でもまた思い出してみよう。


(課題1)コルチャックに関する論文を読んでくる。
(課題2)プラトン 『饗宴』2章くらいまで読んでくる

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2019年12月5日(木)第10講

クセノフォン(7)

* 問いを1つプラス。「なぜ本書は2300年間読み継がれてきたのか?」
* 6つの問いに対して、3グループ全て応答を終える。
* 要約レベルより一歩突っ込んだ読解に進めた感触がある。
* 直球はよく打っているが、変化球に弱い。Dr. Tがツッコミの問いを出し、変化球を返す解釈に挑戦!(もう一歩突っ込んだ読解へ!!)
*(全員が読めていなかった例)
  ・「配慮」の同義語としての「愛」
  ・「相手を配慮
* 残り10分で、各グループごとに自由にテキストへの問いを考える。
* 【次回までの課題】
1)テキストへの問いを各自できるだけ沢山記入する。(Google共有フォルダで)
2)プラトン 『饗宴』を次回持参すること。

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2019年11月28日(木)第9講

新アクティビティ

* コミュニティボールを順番通りに回す、逆に回す、2個いっぺんに回す。
* 意外に難しい。集中力、短期記憶力を使う。笑いが出る。

クセノフォン(6)

* 5つの問いについて、3グループで答えを見つける。答えは一つではない。
* Google共有ドライブにグループごとに入力。
* あちらのページ、こちらのページと、ページを行ったり来たり。
* グループ内外の考えを効率的に共有できる。読みがちょっと深まる。
* この作業そのものがとても面白い、と反響もある。
* ミニホワイトボードも適宜活用。
* 問いが問いを呼ぶのも面白い。

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2019年11月21日(木)第8講

クセノフォン(5)第13・14・15・16・17・18・19・20・21章

* 各章ごとの要約を終了。
* はじめのp4cで30分かかったが、残りの1時間弱で順に要約を終えることができる。
* 要約の技も向上。メリハリをつけ、短時間に要点を紹介できるようになる。この3回の練習でスピードと質が向上。
* 次は深読み。
* Dr. KENの問い
① 農業はどうして技術の中の技術なのか?農業は何が素晴らしいのか?
② リーダー(女王、指揮官、監督)の技術と農業の技術、どこが同じでどこが違う?
③ 「配慮」とはどうすることか?配慮の同義語は何か?
④ 相手が配慮できるように相手を教育するには、どうすれば良いか?配慮させるようにする術は何か?
⑤ あらゆる技術に関して、農業と同じように、教わることなく全てを知ることができるか?どこまでできて、どこからできないか?

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2019年11月14日(木)第7講

クセノフォン(4)第7・8・9・10・11・12章

* 各章ごとにポイントを要約。事前に分担するのではなく、CBでインバイト。これがいい!
* 予定の章の要約を終えて残り20分になる。感想や疑問を述べるためにCBを一巡させる。以下は印象的だった疑問の抜粋。
* どうやって配慮・気配りを教えるか?褒美と叱責・罰(cf., p.104)。単純すぎない?
* イコマコマスが化粧を勧めない意味がわからない。化粧は表面のことだから、したってしなくたって、どっちでもいいのでは?
* 第9章前半でイコマコマスは妻に細々と指導しているが、これだけ細々言うんだったら、自分でやったらどうなの?・・・彼は家のことは妻に任せたい。
* 整理整頓なんて、誰でもやるんじゃないの?
* 「何より嬉しい事は、お前〔妻〕が僕〔夫〕を越え、僕がお前の従者になることなのだ」(p.68)とはどう言うことか?
* 男女の役割分担、生物学的に決定されているの?
* Amiさんの疑問2点、とても考えさせられる問いだったが忘れてしまった・・・次回再確認!
* 次週は最後まで読んでくる。

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2019年11月7日(木)第6講

クセノフォン(3)

第4・5・6章

* 各章ごとにポイントを要約。まずはDr. KENから。3年生のO君、M君。約20分で粗筋を共通認識。
* 「鳥占い」とは?・・・Google
* 各自問いを立てて紹介、投票。
* ソクラテスは農業をした?・・・Google・・・してないのでは?ではソクラテスは観察者の立場から見た目で農業を論じているのではないか?
* 選ばれた問い:職工は不必要なのだろうか?
* CBを回して各自の意見を述べる。それだけで、理解が進む。
* 確認事項:奴隷は市民に含まれるか?市民と奴隷は決定的に異なる。自由人と自由を奪われた人。
* ソクラテスは、職工は不必要だと言っているわけではない。必要ではあるが、市民はやるべきではない。なぜか?その根拠をテクスト2カ所で確認。
* 職工は奴隷に任された。農業は、自由人や富豪もキュロス王も無縁ではいられず、積極的に楽しんだ。なぜなら・・・
* 職工や農業については、「〜と言われている」「〜のように見える」という叙述が多い。ソクラテスは一般に流布した偏見や先入見(ドクサ:憶見)で物を言っているのではないか?/一般に思われていることとソクラテスの見解とは異なるのではないか?
* Dr. KENの問題提起:クリトブロスとソクラテスが探究している「技術」「知」はどんなものか?「最も立派な技術・知であり、クリトブロス(自由人)に最も適した技術・知」
* 職工には、鍛冶屋、大工、石工、塗装工が含まれる。
* さらなる問い:農業も職工と同じく身体や心への負荷が相当にかかるのではないか?両者ともに時間・気力を奪い、時に身体をダメにするのではないか?・・・これは私たち現代日本人のイメージで、古代アテネでは事情が違ったのか?
* 農耕は職工とは職業・労働として本質的に異なるのか?・・・職工は「制作(ポイエーシス)」・・・農耕はポイエーシスではない!?
* 私たちのイメージだと、職工はもっと暇そうに見える。農具も装飾品も武具も一回作れば長持ちするはず。職工ってそんなに忙しいの?
* 今回は先週よりさらにスピードアップ!!
* 次週は第7・8・9・10・11・12章を読んでくる。
* 来週も順番に要約しながら今回と同じやり方で進めよう。

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2019年10月31日(木)第5講

クセノフォン(3)

第2章「ソクラテスとクリトブロスはどちらが豊か?/クリトブロスはソクラテスに助言を求める」

第3章「整理と方法の必要性/妻の役割」

* 3グループに分かれ、各章のポイント・粗筋を押さえたあと、問いを立てて考える。
* 二つの章を終えられる。スピードアップ!!
* 次週は第4・5・6章

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2019年10月24日(木)第4講

クセノフォン(2)

第1章「欲望の代償」

* 最初に問いの有無を尋ねるが、1つしか出ない。
* そこで音読。その後、問いを出す。プラス8個。その問いからテキストの内容を探究。
* 「有限な生身の人間」と「底なしの欲望」の対比が新鮮。欲望には「財産」は意味をもなたない?欲望はただ消費し尽くすだけ・・・
* 次週は、第2、3章を終えたい。

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2019年10月17日(木)第3講

* 台風19号(12・13日)から4日目。被害に遭われた方がたにお見舞いを申し上げます。Dr. KENは19日(土)に丸森地区にサポートに入ります。

1)環境破壊について、引き続き3グループでp4c。

* G1:日本人はなぜ環境問題に関心が薄いのか?/G2:人間は環境に対して良いことをしたことがあるのか?/G3:環境破壊を止めることはできるのか?
* 前回より議論がいっそうリアルになった気がする。

2)クセノフォン『オイコノミコス』(1)

第1章を読む

* 全員がテキスト持参。Amazing!!!!
* 第1章をめぐり「問い」をだす。
Q1)「家政」とは何か?
Q2)「善きもの」「所有物」「財産」の違いは何か?(p.16, l. 8-)
* 「家政の定義」を輪読。ソクラテス対話の進展を丁寧に追う。最初の素朴な定義が吟味にかけられ、定義の中の言葉の意味を明らかにすることで、定義が変容するプロセスを実感。(板書の通り)
* 「財産の定義」も輪読。


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2019年10月10日(木)第2講

1)環境破壊(the destruction of the environment)についての問い①について、3グループでp4cを行う。

* ファシリテーションの練習。約25分の対話。
* TはG2に加わる。「CO2排出の要因は何か?を私たちがあまり知らないという事実が、日本人が環境破壊に関心が少ない表れではないか?」
* 環境破壊について、そのタイプ、要因などをGoogる。
* この問題、来週も継続したい・・・
* 以上60分経過。

2)(続)「教育」と「洗脳」の異同ベスト3

* 約20分でグループの意見を集約(まとめ)、板書する。
* 批判的吟味を試みる。「よくわからないこと、納得できること、異論」などを言ってみる。
* 他のグループの意見で、意味がわからないものを質問する(W)。
* ラスト5分で議論が盛り上がり始める。「G1とG2がいうように、伝授者と受け手に立場の高低がある、というのはどこまで本当(T)だろうか?」

【来週までにやってくること】

* 課題図書、クセノフォン『オイコノミコス』リーベル出版の第1〜3章を読んでくる。わからないところ、みんなに聞いてみたいところをチェックしてくる。

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2019年10月3日(木)第1講

1)グレタ・トゥンベリさんの講義運動「#FridaysForFuture」を紹介。

* グレタさんを知っていたのは、受講生のうちごくわずか(冷汗;)
* グレタさんのスピーチを聞いた後、「問い」を立て投票。次の2つが選ばれる。
  ① 日本人が環境問題に興味をもたないのはなぜか?
  ② 利便性を失くしてまで環境のことを考えられるか?
* 次回はこの問いでp4c!

2)教育と(  )との共通性と差異性を考える。

* (  )には、洗脳が選ばれる。
* ベスト3を個人で考えた後、6・7・7人グループに別れ合意形成(15分ほど)。
* 合意形成には時間が足りなかったが、とりあえずまとめる。
* 続きは次回・・・

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2019年7月24日(水)第15回演習・最終回

1)前期演習の振り返り Pedalogで今期の学びを振り返り リフレクションシート作成 印象的だったことをCBを回しながら全員がコメント * 新書(課題図書)を読めたこと、その読み方を深められたこと。 * 論述レポートの書き方がわかってきた。 * 探究の対話...